『贈る言葉』に、

♪信じられぬと嘆くよりも
 人を信じて傷つくほうがいい♪

と言う歌詞がある。

その言葉を思い出して、私は救われた気がする。
その件については後ほど…。


前に所属していた部署の人たちと、飲みに行く機会があった。

後輩は来ないらしい。
だから、行こうと思った。

たわいもない話をしながら、みんなの近況報告を受けていた。

「彼氏と別れたらしいじゃん。」
「最近、浮いた話はないの?」
といつものように、聞かれる。

「何もないですよー。」
といつものように、答える。

後輩のことは、とても言えない。


私が元いた部署の人たちはとても仲がよくて、
仕事もプライベートも一緒にしてしまっているような人が多い。
それも私がその部署に配属されるまで、
ずっと男性社員しかいなかったから余計に結束力が固い。

そんな中で私は浮いた存在だったのだけど…。
ただ、マイペースにやっていたからそれはそれでよかった。

私がイヤだったのは、
仲がいいからこそなのだろうけど、
その場にいない人のことを必ず悪く言うのだ。
特に、社歴の長い人たちが。

だからずっと信用できなかった。
きっと私がいないとき、
この人たちは私のことも話のネタにして笑ってるんだろうって。


飲み会の終盤、私は最も聞きたくないことを聞いてしまった。

後輩のこと。

「あいつは、仕事はできるようになるだろうけど、
 人間として俺は嫌いだ。」
…営業局長の言葉。

「好きとか嫌いじゃなくて、あいつホントに腹黒い。」
…私のひとつ上の先輩の言葉。

私にはとても信じられなかった。
彼が腹黒い?
確かにお調子者だけど、決して悪い子じゃない。


さらに。
信じられないことを聞いてしまった。

私は以前彼から
会社の先輩が気に入ってる子が来るコンパに行かなきゃいけない。
そんなの行きたくないのにって話を聞いていた。

多分そのコンパでのことなのだろうけど。
先輩の気に入っている子と彼は何かあったらしい。
何があったのかは、聞けなかった。
ただ、みんなが話しているのを横で聞いていただけだから。

「あいつ本当に最低。先輩のことをバカにしすぎてる。」
そう言われてた。


私の心臓は途中からずっとドキドキしていた。
それも、嫌なドキドキ。

帰り道、自転車をこぎながら、
「最低。最低。最低。…。」
って何度もつぶやいていた。

私はそんなに人を見る目がないか?

私は彼のことを腹黒いなんて思ったことは一度もなかったし、
本気で本当にいい子だと思っていた。
彼のようにいい子はそうそういないって思ってた。

それなのに。


苦しくて。苦しくて。

何が苦しいって、
自分が信じていた人がそんな人かも知れないってこと。
そして、
自分が信じていた人を信じられなくなること。

本気で苦しかった。


私は小学生の高学年の頃からずっと今でも日記を書いている。
大学ノートにずっと日記を書いている。
毎日書くわけではないけど、
日記を書くのを辞めようと思ったことはない。

その日記にずっと文字を書いていた。

深く、深く、考えていた。


彼が私とつき合えないといったのは、
初めからつき合う気なんてなかったからなのかもしれない。

彼女がいるとかいないとか、そんなことは関係なかったのかもしれない。

私は彼を100%信じられたから好きになったけど、
彼には私のほかにも、
彼が私に接するように接していた子がいるのかもしれない。

彼のことをとても怖い人だと思った。

彼のことを酷い人だなんて思いたくなかったけど、
それは私の勝手な解釈にすぎなかったのかもしれない。


私は人を信じすぎる。
自分の都合のいいように人を信じてしまう。

それで今まで何度も痛い目に遭ってきたのに。
私は全然学習能力がない。


だけど、冒頭にも挙げたように、
それでも私は信じる心を失いたくないんだ。

だって。
人を信じられて、
その信じられる人を好きでいることって
とてもとても幸せなことだから。

人を信じられないとき、
私はとても心が苦しくて不安定になるから。


傷ついたとき、
その傷を誰かのせいにしたって私はちっとも楽になんてならない。

自分が裏切られたのかもしれないと感じるとき、
私はとても傷つく。
信じているから傷つくの。
信じていない人の言動に腹が立つことはあっても、
心に傷まで負うことはないから。
信じているからこそ、傷を負うんだ。

でもその傷は自分で受け止めるしかないのだ。

ヒドイ奴だと罵っても、
もう絶対に信じない!と怒っても、
私は人を見る目がないと自分を責めても。

その傷は癒えることはない。

そうじゃない人もいるかもしれない。
だけど、少なくとも私は今までずっとそうだった。


もう彼のことは信じられないと日記に書いている間中、
ずっと苦しかった。

私は人を見る目がないし、
どうして自分のことを幸せにできないんだろうと考えている間中、
ずっと胸が痛かった。


でも、今は思うんだ。

人をずっと信じられない人生か、
人を信じて傷つく人生どちらかを選べと言われたら、
私は間違いなく後者を選ぶだろう。

だって。
本当に人を信じられるって幸せなことだから。

今は違うけど。
今は傷ついて胸が痛いけど。
それでも、
彼のことを信じていられた時間は
間違いなく幸せだったから。


それに。
私は彼からそう聞いたわけじゃない。

彼が本当は私のことをどう思っていたのか。
彼の出した答えは、
私とは「つき合えない」だったけど、
彼が何を考えてそこに行き着いたのか私は知らないのだから。

彼のことを疑いたくない。
彼が私にかけた言葉を疑いたくない。

そして私は、
自分のことを嫌いになりたくない。
自分のことをもうこれ以上責めたくないから。


信じるってそういうことでしょ。
信じることが不幸につながるのなら、
そんなことするべきじゃないって思う。

でも私は違うから。

信じることは自分自身を幸せにすることだって思うから。


私は。
頑固だし、
料理も得意じゃないし、
負けず嫌いだし、
八方美人だけど毒舌だし、
面倒くさがり屋だし、
ワガママだ。

人に好かれるものなんてそんなに持ってない。

だけど。

そんな私でも、人を信じたいんだよ。
そんな私でも、人を信じられるんだよ。

大切にしたい。

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